2022-01-01から1年間の記事一覧

読書日記【003】愛の作法

庭の鉢植えが倒れる音で目が覚める。春の嵐。今日は曇り空。雲が流れるスピードが早くて嘘みたい。 *** もちろん、音楽マニアにとっては、飽きていくのは消費というよりむしろひとつの愛の作法であって(いつまでも「この一曲」だけを大切にして、ずーっとし…

読書日記【002】とてつもなく長い時間

雨ばかり降る。窓の外をぼんやり眺める。たちこめる霧の向こうから、二羽のマガモが歩いてくる。 *** 競馬場にいると時間が実際に削り取られていくのをひしひしと感じることができる。今日のこと、第二レースのために馬たちがゲートに向かっていた。スタート…

読書日記【001】 文学的表現の核心

夕方、海岸を散歩する。風は穏やか。男の子と父親が砂浜に並んで腰掛け、ポテトチップスをつまんでいる。波打ち際にカラス。日が沈む。 *** 情報の多義性と不確定性を増やす。これが文学的表現の力ではないかと。なるほど、たしかにと思う。 一つの言葉に複…